ストレスチェック・メンタルヘルス対策・復職支援・中小企業の職場改善
ストレスチェックは実施して終わり? メンタルヘルス対策と復職支援で会社を強くする方法
ストレスチェックは実施して終わり? メンタルヘルス対策と復職支援で会社を強くする方法
社員が休職して初めて、会社の課題に気づくことがある
「最近、あの社員の元気がないな」
「以前よりミスが増えた気がする」
「突然、メンタルヘルス不調で休職することになった」
中小企業の経営者や管理職にとって、こうした出来事は決して他人事ではありません。
特に製造業では、一人ひとりが専門的な技能や経験を持ち、長年にわたって現場を支えていることも少なくありません。
その社員が突然休職すると、本人の健康だけでなく、現場の人員配置、仕事の引き継ぎ、納期、周囲の社員の負担にも影響します。
しかし、ここで考えたいことがあります。
社員が休職したことだけが問題なのでしょうか。
もしかすると、その前から職場には小さなサインがあったのかもしれません。
相談しにくい雰囲気、仕事の偏り、上司と部下のすれ違い、慢性的な人手不足。
こうした問題を早い段階で発見し、改善していくことがメンタルヘルス対策の重要な役割です。
そして、万が一社員が休職した場合にも、安心して復職できる仕組みを整えておく必要があります。
1.ストレスチェックは何のために実施するのか
ストレスチェック制度は、働く人が自身のストレス状態に気づき、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを主な目的とした制度です。
労働安全衛生法に基づき、対象となる事業場では定期的なストレスチェックの実施が求められます。
2025年5月に成立した改正労働安全衛生法では、これまで努力義務だった常時50人未満の労働者を使用する事業場についても、ストレスチェック実施の義務化が定められました。施行日は政令で定められるため、最新の行政情報を確認する必要があります。
ただし、重要なのは法律への対応だけではありません。
ストレスチェックを実施しても、結果を確認するだけで終わってしまえば、職場環境の改善につながるとは限りません。
大切なのは、個人のプライバシーを守りながら、適切な集団分析などを通じて職場全体の課題を把握し、改善に生かすことです。
例えば、次のような気づきが得られる可能性があります。
- 特定の部署で仕事の負担感が高い
- 上司に相談しにくいと感じる社員が多い
- 同僚同士の支援が不足している
- 仕事の裁量や役割分担に課題がある
こうした結果を、誰かを責めるためではなく、より良い職場をつくるために活用することが重要です。
2.メンタルヘルス対策は、社員の問題だけではない
社員が心身の不調を訴えたとき、「本人がストレスに弱いのではないか」と考えてしまうことがあるかもしれません。
しかし、職場のメンタルヘルスは、個人の性格や気持ちだけで決まるものではありません。
仕事量、職場の人間関係、労働時間、役割の明確さ、相談体制など、さまざまな要因が関係します。
例えば、優秀な社員ほど責任感が強く、周囲に迷惑をかけまいとして仕事を抱え込むことがあります。
管理職も同様です。
部下を育て、納期を守り、品質を確保し、経営者からの期待にも応えなければならない。
その管理職自身が、誰にも相談できずに疲弊している場合もあります。
だからこそ、メンタルヘルス対策では、社員への個別支援と職場環境の改善を両輪で進める必要があります。
社員を支えることと、管理職を支えること。そして、会社の仕組みを見直すこと。
この3つを切り離さないことが大切です。
3.復職支援は「会社に戻ってきたら終わり」ではない
メンタルヘルス不調で休職した社員が、治療や療養を経て復職する。
会社にとっても、本人にとっても、大切な一歩です。
しかし、復職したその日をゴールにしてはいけません。
復職直後は、本人の体調が安定しているように見えても、業務負荷や職場環境によって再び負担が大きくなる可能性があります。
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援について次の5つのステップが示されています。
- 病気休業開始及び休業中のケア
- 主治医による職場復帰可能の判断
- 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
- 最終的な職場復帰の決定
- 職場復帰後のフォローアップ
特に重要なのは、復職前の準備と復職後の継続的なフォローです。
主治医の意見だけでなく、産業医等の産業保健スタッフや人事労務担当者、管理監督者が適切に連携し、本人の状態と業務内容を踏まえて復職支援を進めます。
復職の可否は、医療的な情報や職場の受け入れ体制などを踏まえ、会社が適切な手続きで判断する必要があります。
4.復職支援で大切にしたい5つのこと
① 本人の話を丁寧に聞く
復職する社員が、どのようなことに不安を感じているのか。
仕事量なのか、人間関係なのか、以前と同じ業務を担当することなのか。
本人の希望を尊重しながら、必要な配慮について話し合うことが出発点です。
ただし、本人が話したくない病状などを無理に聞き出さず、健康情報の取り扱いには十分な注意が必要です。
② 復職支援プランを具体的にする
復職後の勤務時間、業務内容、残業の制限、通院への配慮、面談の頻度などを、必要に応じて明確にします。
「無理をしないでね」という言葉だけでは、本人も上司も何を基準に判断すればよいか分かりません。
具体的な支援内容を決めておくことで、安心して働き始めやすくなります。
③ 管理職だけに負担を集中させない
復職支援を現場の上司一人に任せてしまうと、管理職自身が対応に悩むことがあります。
人事労務担当者、産業保健スタッフ、必要に応じて外部の専門家が連携し、管理職を支える体制をつくることも大切です。
④ 周囲の社員への配慮も忘れない
復職する社員の業務を調整すると、周囲の社員の仕事量が増えることがあります。
本人のプライバシーを守りながら、チーム全体の業務配分を見直す必要があります。
復職者を支えることと、周囲の社員に過度な負担をかけないことは、両立させたい課題です。
⑤ 復職後も継続して確認する
復職直後だけでなく、その後も定期的に業務負荷や体調、職場への適応状況を確認します。
必要に応じて支援プランを見直し、無理なく働き続けられる状態を目指します。
5.中小製造業こそ、予防と復職支援を一体で考えたい
中小製造業では、一人の社員が担う役割が大きいことがあります。
特定の社員にしかできない作業、長年の経験による判断、取引先との関係。
こうした仕事が属人化していると、その社員が休職した際に現場が混乱しやすくなります。
だからこそ、メンタルヘルス対策は、単なる健康管理の取り組みではありません。
業務の標準化、技能継承、管理職育成、コミュニケーション改善とも深く関係しています。
例えば、ストレスチェックをきっかけに業務の偏りが見えてきたら、作業分担を見直す。
相談しにくい職場であれば、管理職の面談方法を改善する。
休職者が出た場合には、本人への配慮と同時に、現場の業務体制を再検討する。
こうした取り組みは、社員が安心して働ける職場づくりだけでなく、事業の継続性や生産性の向上にもつながる可能性があります。
6.今日からできる3つの取り組み
大きな制度や予算がなくても、まず始められることがあります。
第一に、社員が相談できる場所を明確にすること。
直属の上司だけでなく、必要に応じて人事担当者や外部相談窓口など、複数の相談先を用意することが望まれます。
第二に、仕事の偏りや職場の負担を定期的に確認すること。
残業時間だけでなく、業務の難しさ、責任の集中、職場の人間関係にも目を向けます。
第三に、休職・復職時の対応手順を決めておくこと。
休職者への連絡方法、復職判断の手続き、関係者の役割分担、復職後のフォローなどを、事前に整理しておくことが大切です。
問題が起きてから慌てて対応するのではなく、平常時から備えておくことが会社と社員の双方を守ります。
7.ケイネクシアが大切にしていること
私たちケイネクシアは、ストレスチェックやメンタルヘルス対策を、単なる制度対応で終わらせたくないと考えています。
ストレスチェックで職場の状態を把握する。
社員や管理職の声に耳を傾ける。
会社の強みと改善すべき点を整理する。
そして、必要な改善を一つずつ実行する。
その積み重ねが、社員の安心感、定着、育成、組織の力につながっていくと考えています。
復職支援についても、本人への適切な配慮はもちろん、安心して働き続けられる職場環境を整えることが重要です。
ケイネクシアは、兵庫県西宮市を拠点に、尼崎市、芦屋市、神戸市など阪神間の中小企業、とりわけ製造業の現場に寄り添いながら、人と組織の課題解決を支援しています。
人を大切にする経営は、会社を強くする。
これは単なる理想論ではありません。
社員が安心して働き、力を発揮できる環境を整えることは、会社の持続的な成長を支える重要な経営課題です。
よくある質問
Q.ストレスチェックを実施すれば、メンタルヘルス対策は十分ですか?
いいえ。ストレスチェックは一次予防のための重要な仕組みですが、それだけで十分とはいえません。相談体制の整備、管理職への支援、職場環境の改善、休職・復職支援などを組み合わせることが重要です。
Q.従業員50人未満の会社にもストレスチェックは必要ですか?
改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にも実施義務が拡大されることになりました。施行時期や具体的な実施方法について、厚生労働省の最新情報を確認しながら準備を進めましょう。
Q.休職した社員は、主治医が復職可能と判断すればすぐに戻せますか?
主治医の判断は重要な資料ですが、それだけで会社の復職判断が完結するわけではありません。実際の業務遂行能力、職場の受け入れ体制、産業医等の意見などを踏まえ、適切に判断する必要があります。
Q.小さな会社でも復職支援の仕組みはつくれますか?
はい。社内に専門部署がなくても、対応手順や相談窓口、外部専門家との連携体制を整えることから始められます。会社の規模に合った、無理なく運用できる仕組みが重要です。
まとめ|復職した日ではなく、働き続けられる未来を考える
社員が休職せずに働き続けられること。
万が一休職しても、安心して復職できること。
復職後も、本人と周囲の社員が無理なく働けること。
この一連の仕組みを整えることが、これからの中小企業に求められるメンタルヘルス対策ではないでしょうか。
ストレスチェックは、そのための大切な入口です。
そして、復職支援は、社員と会社の未来をつなぐ大切な取り組みです。
ケイネクシアは、人を大切にする経営を、現場で実践できる仕組みへと変えていくお手伝いをしています。
ストレスチェックの準備、職場環境の改善、社員の定着や復職支援体制についてお悩みの経営者・人事担当者の方は、ケイネクシアへご相談ください。
株式会社ケイネクシア
参考資料
- 厚生労働省「ストレスチェック制度」
- 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
- 厚生労働省「職場における心の健康づくり」
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