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ハラスメント対策:相談窓口の案内と情報の取り扱い

ハラスメント相談窓口を周知するとき、連絡先のほかに何を伝える?

「こんなことで相談していいのだろうか」

「上司に知られて、明日から気まずくならないだろうか」

相談窓口の案内を前に、そんなふうに迷う人がいるかもしれません。連絡先は分かっていても、送信ボタンを押すまでには、いくつものためらいがあります。

窓口を周知するときに伝えたいのは、連絡先に加えて、どの段階で相談できるのか、話した内容をどう扱うのか、その後どう進むのか。相談する人が、自分の明日を少し見通せる案内にすることが大切です。

窓口はあるのに、声を上げられない理由

経営者や管理職としては、困ったら早く話してほしい。大きな問題になる前に、できることを考えたい。その思いがあっても、社員が同じように受け取っているとは限りません。

たとえば、忙しい上司に時間を取ってもらうのが申し訳ない。自分だけが気にしすぎているのかもしれない。悩みのきっかけになった相手と、明日も隣の席で働かなければならない。顔の見える関係だからこそ、話しにくさが生まれることもあります。

相談が来ていないことだけで、困っている人はいないと言い切れるでしょうか。

「何かあったら言ってね」という声かけにも意味はあります。ただ、誰に、何を、どこまで話してよいかが分からなければ、言い出す難しさは残ります。窓口の案内は、連絡方法を知らせると同時に、こうした迷いに会社から答える機会でもあります。

ハラスメントか分からない段階で、話してよい

人前での注意がずっと頭から離れない。仕事を頼むたびに強い口調で返され、声をかけづらい。そんなとき、本人が最初から出来事を整理し、ハラスメントに当たるか判断するのは難しいものです。

案内が「ハラスメントの被害を受けた方へ」だけになっていると、確信が持てるまで相談してはいけない、と受け止める人もいるかもしれません。厚生労働省の解説でも、パワハラに当たるか微妙な場合や、発生のおそれがある場合を含め、広く相談に対応することが示されています。

そこで、たとえば「気になる言動があるけれど、どう考えればよいか分からない段階でも相談できます」と添えてみてください。うまく説明できることを、相談の条件にしないという姿勢が伝わります。

受ける側も、話の途中で結論を出さず、何があったかと、本人が何に困っているかを分けて聴く。相談を受け止めることと、相手の行為をその場でハラスメントと決めることは別です。その区別を担当者同士でも共有しておきたいところです。

誰に伝わるか分からない不安を、置き去りにしない

相談した後に何が起こるかは、本人にとって切実です。知らないうちに上司へ話が届いたり、周囲から事情を聞かれたりするのではないか。その不安に、プライバシーへの配慮という言葉だけで答えるのは難しいでしょう。

まずは、記録を誰が見られるのか、どこで保管するのかを社内で決め、相談時に説明できるようにします。共有が必要なときは、目的・相手・範囲を説明し、本人の意向を確かめる。相手や第三者への事実確認は相談者の了解を得て行い、関わる人を必要な範囲に絞る。厚労省「あかるい職場応援団」も、こうした対応を示しています。

そのため、「誰にも絶対に言いません」と約束するのは避けたいところです。必要な対応と本人の希望がかみ合わないときこそ、何を心配しているのかを聴き、進め方を説明する時間が要ります。

相談したことや事実確認への協力を理由に、不利益な扱いをしない方針も明確に伝えましょう。案内に書くだけでなく、相談後に仕事上の扱いや周囲との関係で困っていないか、確認できるようにしておくことが大切です。

相談を受ける管理職も、一人で抱えない

部下から打ち明けられた管理職にも、迷いは生まれます。話してくれたことは大切にしたい。でも、相手の上司とも日々仕事をしている。どこまで聞き、誰につなげばよいのか。自分だけで判断しようとすると、動けなくなることも考えられます。

会社として決めておきたいのは、最初に話を聴く役割と、事実確認や対応を担う役割です。受付担当が調査まで行う体制もあれば、人事などへ引き継ぐ体制もあります。自社では誰が何を担うのか、引き継ぐ前に本人へどう説明するのかを、あらかじめ確かめておきましょう。

たとえば、受けた話をその場で裁こうとせず、困っていることや当面の安全、本人の希望を確認して、決めた担当へつなぐ。相談を受ける管理職自身にも、対応に迷ったときの相談先を用意する。社員にも管理職にも、判断を一人で背負わせないための準備です。

相談した後、連絡を待つ時間にも目を向ける

会社が対応を検討している間も、本人の仕事は続きます。次の連絡がないままでは、忘れられてしまったのか、話さなければよかったのかと、気持ちが揺れることもあるでしょう。

相談の終わりには、次に誰が、いつ、どの方法で連絡するかを一緒に確かめる。まだ結論が出ていなくても、伝えられる範囲の状況と次の見通しを知らせる。これは解決時期の約束とは違います。待つ人を、何も分からないままにしないための連絡です。

本人が受け取りやすい時間帯や方法も確認しておきましょう。職場での電話より、指定した時間の連絡を望む場合もあります。こうした希望を尋ねることも、話した内容を大切に扱う姿勢の一つです。

今日、案内を読み返すなら

新しい仕組みを一度に増やさなくても、今の掲示や案内を、初めて相談する社員の目で読むところから始められます。

  • 担当者名・受付時間・連絡方法が分かり、上司を通さず連絡できるか。
  • 迷っている段階でも相談できることが、自分の言葉で伝わるか。
  • 情報の扱いと、不利益な扱いをしない方針が説明されているか。
  • 話を聴いた後の流れと、次の連絡について案内できるか。

書いた内容が実際の対応と合っているか、担当者とも話してみてください。掲示を更新したら、朝礼や研修でも短く伝える。厚労省が重視する、継続した周知と具体的な取組を、日々の職場で重ねていきましょう。

よくある質問

相談内容がまとまっていなくても、受けてよいですか?

はい。整理できていない段階も含めて受け止め、話せるところから聴くことが大切です。結論や詳しい説明を急がせず、困っていることを一緒に確かめていきます。

本人が上司への共有を望まないときは、どうしますか?

その意向と理由を確認し、安易に共有しないことが出発点です。対応に共有が必要なら、目的・相手・範囲を説明して進め方を相談します。事実確認は本人の了解を得て行う手順を整えましょう。

相談が少なければ、今の案内で十分でしょうか?

件数だけでは判断できません。窓口の存在を知っているか、利用方法や相談後の流れが分かるかを見直してみてください。案内と実際の対応が一致していることも欠かせません。

まとめ:話し出すまでの迷いも、会社で支える

窓口の周知は、連絡先を届けて終わりではありません。まだ迷っていても話せること、話した内容を丁寧に扱うこと、相談後も連絡が続くこと。その見通しを、日々の対応で確かめられる職場にしていきたいと考えています。

ケイネクシアが大切にしているのは、社員と管理職が安心して話せる職場づくりです。西宮・大阪の中小企業の皆さまも、今の案内で伝わりにくい点や、担当者が迷う場面から、一緒に整理してみませんか。相談体制を見直す際は、EAPの案内もご覧ください。

参考資料

「社員の定着が気になる」「相談先を整えたい」「ストレスチェックの結果を活かしたい」。何から始めるか決まっていなくても、まずは現在の状況をお聞かせください。

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