職場コミュニケーション・管理職支援・ハラスメント予防
部下に注意したあと、気まずくなったときはどう関わる?
「注意したあと、声をかけづらくなった」
「必要な指摘だった。でも、言い方はきつかったかもしれない」
翌朝、部下の席を見ながら、何から話そうかと迷う。管理職にも、そんなときがあるのではないでしょうか。
まず大切にしたいのは、伝える必要があった仕事の話と、自分の伝え方を分けて振り返り、挨拶や必要な連絡を途切れさせないことです。言い過ぎた点があれば具体的に認める。そのうえで、次の仕事をどう進めるかを確かめます。すぐに打ち解けてもらうことを、目標にしなくてよいのです。
自分の気まずさを、相手に片づけてもらわない
注意した側は、返事が短いだけでも気になるものです。「怒っているのかな」「もう信頼されていないのかな」と考え、必要以上に明るく話しかけたり、反対に距離を置いたりしたくなるかもしれません。
ただ、相手が何を感じているかは、表情だけでは分かりません。考えを整理しているのか、別の仕事で余裕がないのか、それとも話すことに負担があるのか。こちらの想像を、本人の気持ちとして扱わないようにしたいところです。
「もう気にしていないよね」と聞きたくなったら、少し立ち止まってみませんか。部下には、上司を安心させる返事を求められたように聞こえることもあります。自分が楽になるための確認になっていないか。それを考えるだけでも、次の一言は変わります。
必要な指摘と、言い過ぎた言葉を分ける
振り返るときは、「厳しかったか、優しかったか」だけで考えず、実際に何を伝えたかを思い出してみてください。
たとえば、提出物に確認漏れがあったことを伝える必要はあっても、「いつも雑だ」「責任感がない」と、その人全体を評価する言葉まで必要だったでしょうか。起きた事実、仕事への影響、次にしてほしい行動を、人格の評価から切り離して考えます。
人前で強い言い方をしたのであれば、周囲に聞こえない場で、本人が話せるかを確かめたうえで、こんな伝え方が考えられます。
「昨日、皆の前で『いつも雑だ』と言ったことは、言い過ぎでした。申し訳ありません。確認してほしかったのは、見積書の数量の部分です」
これは会話の一例です。実際に言っていないことまで謝る必要はありませんし、謝罪のあとに「でも、あなたも悪い」と続ければ、伝え方を振り返ったことが届きにくくなります。業務の改善点は、その話として落ち着いて確認しましょう。
相手にその場で許してもらうことや、謝り返してもらうことを求めない。伝えたあとの受け止め方まで、上司が決めることはできません。
話を聴くなら、説明を重ねる前に
部下が話し始めたとき、「そういうつもりではなかった」と、途中で説明したくなることもあるでしょう。自分の意図を分かってほしい気持ちはあっても、まずは相手の言葉が終わるまで待ってみてください。
厚生労働省「こころの耳」の「傾聴のポイント」では、周囲に聞こえない環境を整え、最後まで聴いたうえで、理解した内容を本人に確かめることが紹介されています。
「確認の仕方が分からないまま、期限が来てしまったということですか」。そんなふうに、分かったつもりで進めず、確かめます。事情を聴くことは、確認漏れをそのままにすることではありません。何を直せば次の仕事が進むのかを、一緒に考えるための時間です。
今は話したくないと言われたら、理由を問い詰めず、気持ちを話す面談は無理に続けないようにしましょう。「仕事の確認はメールでもできます」と方法を示すこともできます。必要な業務連絡と、気持ちを打ち明けることを、ひとまとめにしない配慮です。
翌日の仕事で、関わり方を変えていく
一度話しただけで、いつもの空気に戻るとは限りません。そんなときこそ、挨拶をする、質問に答える、必要な情報を共有する。普段の仕事の関わりを続けていきます。
気まずいからと仕事を頼まなくなったり、その人にだけ連絡を後回しにしたりしていないでしょうか。そっとしておくつもりでも、仕事に必要な関わりまで減らせば、本人は困ってしまいます。
先ほどの確認漏れの例なら、「次は気をつけて」で終えず、どの段階で、何を確認するかを決めます。たとえば「次の見積書は、送付前に数量欄を一緒に確認する」。確認する時間を確保することは、上司の役割です。
次に確かめたいのは、機嫌が直ったかではなく、決めた方法で進められたか、分からない点が残っていないか。「この欄は確認できていますね」と具体的に伝えれば、部下も何を続ければよいか分かります。場を和ませようと無理に褒めるより、実際の仕事を丁寧に見ることから始めてみませんか。
二人で話せば済む、と考えない方がよいとき
威圧的な言動が繰り返されている、本人が怖くて話せないと伝えている、ハラスメントの相談が出ている。そうした場面を、単なる気まずさとして扱わないことが大切です。
当事者同士の面談や謝罪、仲直りだけで終わらせず、社内の相談窓口や人事など、適切な担当につなぎます。自分の言動について相談が出ている場合は、自分だけで解決しようとせず、担当者の対応に協力しましょう。
厚労省「あかるい職場応援団」は、相談者の了解を得た事実確認や、相談者・協力者への不利益な取り扱いを防ぐことを示しています。相談を取り下げるよう求めたり、「直接話せば済んだのに」と責めたりしない。会社として安全や情報の扱いに配慮し、対応を進める必要があります。
よくある質問
謝ると、必要な注意まで撤回することになりますか?
伝え方について謝ることと、業務上の改善を求めることは分けて考えられます。何を言い過ぎたのか、仕事では何を確かめたいのかを具体的に伝えましょう。指摘した事実自体が誤っていた場合は、その点も訂正します。
返事がそっけないとき、もう一度話し合うべきですか?
返事だけで気持ちを決めつけず、面談を重ねることを急がないでください。必要な連絡や支援を続け、話す機会は本人の意向も確かめます。困りごとが続く場合は、管理職自身も適切な相談先を頼りましょう。
気まずくなるのが怖くて、次の注意ができません。
安全や仕事の質に関わる必要な指摘は、曖昧にしないことが大切です。事実と求める行動を整理し、落ち着いて伝えられる場を選びます。難しい場合は、上司や人事に伝え方を相談してから臨んでも構いません。
まとめ:注意したあとも、同じ職場で働く人として
注意を伝えたところで、管理職の関わりが終わるわけではありません。言い過ぎた点を振り返り、必要な連絡を続け、次の仕事で困らないように支える。その積み重ねを大切にしたいと考えています。
ケイネクシアは、社員を大切にするとともに、関わり方に迷う管理職も支えたいと考えています。西宮・大阪の中小企業の皆さまも、「あのとき、どう伝えればよかったのだろう」という迷いから、一緒に整理してみませんか。EAP・管理職支援の案内をご覧いただき、相談窓口から今の状況をお聞かせください。
参考資料
以下の公的資料を参考に、注意したあとの関わり方を提案しています。本文の会話は説明用の例で、実在の相談事例ではありません。
- 厚生労働省「こころの耳」3 傾聴のポイント
- 厚生労働省「あかるい職場応援団」相談や解決の場を提供する
「社員の定着が気になる」「相談先を整えたい」「ストレスチェックの結果を活かしたい」。何から始めるか決まっていなくても、まずは現在の状況をお聞かせください。
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